第3回ルミオンコンペティション作品投票

作品詳細

作品

コミュニティーホール

胸を躍らせて旅人達がこのリゾート地を訪れる。
序盤はカンボジア・クメール文化の壮大なスケールや、精緻なデザインを引用し、ここに小さなカンボジアを演出した。
中盤にコミュニティホールが現れる。形状はシンプルな、求心力を高める円形施設とした。「集う」ことをシンボル化し、お祭りの中心に在る櫓(やぐら)をイメージして建物デザインを行った。
傾斜した地形を活かした高床式構造としたことも櫓にヒントを得ている。
室内のゾーニングは「K」の字で分節する構成とした。3本の軸線に通路や階段を配置し、自然光が降り注ぐトップライトを設けた。各室は繋がりを持たせたまま程良く仕切ることで、フレキシブルな多機能利用ができる工夫をしている。
また建物外周に設けたスロープは、屋上テラスへ行くことが可能。庇代わりに室内への強い日差しを防いでいる。
最後に、航空写真でこの地を検索すると、建物に「KIRIROM」という文字が浮かび上がる仕組みを加えた。

  • コミュニティーホール
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講評

今回のコンペ参加者の皆さんのほとんどが、カンボジアが題材であることを画で伝えるのは割と諦めていらっしゃる中で、冒頭で乗り物や彫像、国旗等でしっかりそれを伝える演出をされているのに好感を持ちました。オープニングもしっかり「始まり」感があり、エンディングも空に昇るカメラの俯瞰によってロゴマークを見せつつ音楽もきっちり終わらせているので、とてもしっかり「終わり」感が出ていて、構成のあるひとつの作品としてまとまっていると思います。カメラワークについても比較的、いいスピードを守りつつ、視点が過度に動かないレベルには収まっていて悪くない印象です。少し惜しいのが編集です。無駄にディゾルブ等のトランジションを使わずカット編集をされているのはとてもいいのですが、カット編集の場合は特にしっかりと、繋ぎ目に「このカットの後にこのカットが来る意味」の見える編集をする必要があります。その基本としてはまず「はっきりとアングルが変わる」ということがあるかと思います。0:27、0:59、0:17の3箇所、つまりほとんどの編集点で、サイズも構図も非常に似たカットを繋いでいるので、ジャンプしたような編集になって違和感があります。しっかりカメラの位置を変えたカットで繋ぐよう心がけられると、更に映像作品としてのレベルが上っていくと思います。