第3回ルミオンコンペティション作品投票

作品詳細

作品

コミュニティーホール

今回設計したコミュニティホールは、「雨を楽しむための建築」です。雨季が長いキリロムでは雨は煩わしいものかもしれません。しかし、日本には雨の風情を楽しむという文化が存在します。雨の多い場所だからこそ、それを楽しむ要素として取り入れることを考えました。
傘は雨を遮る役割を果たします。屋根は建築における「傘」ですが、この建築においては、雨を凸型に「遮る」のではなく、凹型に「集める」という逆さまの形を取っています。屋根全体に降り注いだ雨水は「傘の穴」を通して、東側にある水盤へと集まり、見る者を楽しませます。五感を使って自然を感じることで、気軽に長時間滞在することができるコミュニティホールとなります。

また、湿気対策として図書機能の多くを2階に配置し、建物の各所の「傘の穴」から湿気を逃がす設備を施します。外の広場では、オープンテラスを広くとり、周囲から容易にアクセスができるようアプローチを配置しました。

  • コミュニティーホール
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講評

解説文を拝見すると「雨を楽しむための建築」がテーマとのことですが、人々はこの建築物のもと、どんな風に雨を楽しむのでしょうか?ちょっとテーマの訴求の仕方が散漫でそれが伝わって来ていない印象です。まず0:20のテロップですが「Umbrella」のスペルが間違っているのでいきなりただの滑稽なビデオになってしまっています。テロップというのは非常に強い武器ですので、本作のようにスペルで遊ばれるのであれば尚更、注意して使われるべきです。0:52?のショットが最も「傘」をテーマにした建築物であることを見せるためのベストなショットと思いますので、これをもっと冒頭近くで見せておいてから、通常のインテリア紹介的なショットに移行した方がより効果的だったかも知れません。ただ、全編を通して微妙に癖のある音楽がずっと流れていて、晴れのショットでも雨のショットでも音の使われ方が変わらないこともあり、そこにいる人々がどんなふうに「雨を楽しむ」のかが情報としても心情的にも伝わって来ることがなく、単に建築物の中心に排水があるのだなという構造しか頭に残りません。「風情」を楽しめることをフィーチャーしたいということでしたら、何らかの雨の風情を示すためのインサート(花弁に落ちる雨粒、雨に打たれてみる人物、etc)などが必要だったかも知れません。他にもいろいろ「風情」を表現する方法はありますので(音も含め)ぜひ試行錯誤してみて頂ければと思います。