第3回ルミオンコンペティション作品投票

作品詳細

作品

クラブハウス&ホテル

丘の頂きに反する窪み・空洞を持つ屋根の建築。
敷地の広大な大地と豊かな自然を常に感じられるように、最小限の面積で最大限に広がる情景を目指した。
地上階の地盤は頂きの地形に沿って起伏しており、その形状に合わせて受付やレストランが置かれる。
屋根によって内部の領域は吹き抜けまで広がり、中央の丘を囲うテラスでは周囲を見渡すこともできる。
ホテルとなる2階の部屋は放射線状に分割されており、外側の回廊を通って室に入る。
向かい合う部屋間の視線は屋根で遮られ、代わりに中庭の賑やかさと自然の広がりを同時に感じられる。
屋根がかかっただけの場所だが、集められた雨や光は外側へと流れ、凝縮された環境は激しく作用しあう。
そこを包むように置かれた人々は、環境をどのように扱い過ごすのだろうか。
どんな時期でも長居し、ゴルフ場まで走って下るのを楽しみに待つための空間。
その期待感を表現したいという想いを込め、この映像を制作した。

  • クラブハウス&ホテル
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講評

音楽の展開と映像の展開をしっかり合わせて起承転結の構成をされているのは、コンペ作品の中でも稀なので好感が持てます。冒頭?0:29までの各ショットや流れは抑制も効いていて「最小限の面積で」というテーマを着実に表現しておりとても良いのですが、導入で30秒使ってしまっているのでその後の「最大限に広がる情景」の表現が忙しくなってしまい、「広がる」感じになりきれない印象です。1:30という制限の悩ましいところかと思います。ご使用の楽曲では導入部分で同じフレーズを2回ずつ繰り返しているので、それを1回ずつに編集して時間を圧縮し、今の0:38からの「広がり」の表現の開始をあと15?20秒前倒しにする感じがベストな配分かも知れません。それから、0:30?のショットはまだ「広がり」の前段階だと思いますので、もっと我慢してカメラの移動スピードを抑えた方が、その後の開放感がより強調出来るかと思います。加えて、このショットですが、カメラが窓ガラスを突き抜けて屋外へ出ていくのが気になってしまいます。ここは宿泊ゲストの目線、気持ちの表現かと思いますので、物理的に人間が通れる導線を通るなり、一度カットを割ったほうが、ムービーを見る観客が「そこに居る」感覚を持ちやすいかと思います。そして次の0:38からの俯瞰ショット&音楽の展開する部分が一番のこのムービーの見せ場と思いますが、せっかくとても良いインパクトで「広がり」を表現されていますので、もっと思いっきりカメラを上昇させて、ゴルフ場まで入る広い画が欲しかった気がします。恐らく尺の問題もあったのかと思いますが、上記のように導入部を圧縮してこのショットにしっかり時間を取ることで、確実にここが印象に残るムービーになると思います。